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経営管理責任者の立証書類

更新日:2020年10月12日

 建設業許可要件のうち、最も重要になる経営管理責任者。建設業の経営経験が5年以上という「過去の経験」が求められますので、試験に合格したり、講習を受けたりすることでなれるものではありません。「経営経験」と「経験業種」を立証するのは、それぞれ別の書類が必要になります。どのような書類で立証するのでしょうか。(経営の補佐や、経営者に準じた経験の説明は次回以降)



「経営経験」の証明


 まず、個人事業者が経営者としての経験を立証するためには、「確定申告書」が必須です。確定申告とは、毎年1月1日から12月31日までの1年間の所得にかかる税額を計算し、翌年3月15日までに申告・納税する手続きのことです。税務署の窓口で申告をした場合、申告書の控えに受理印が押印されます。この書類こそが、経営経験を証明する公的な書類になります。電子申告を行っている場合は受理印が押印されることはありませんが、申請番号が付与されます。この申請番号を確認する書類として、その番号が表示された画面を印刷した「メール詳細」と呼ばれる書類を添付することで、申告をしていることの証明になります。

この書類を5年分用意することが必要になります。


人を雇用して作業をさせたり、仕事を受注・外注するなど、外形的には実際に事業を行っていたとしても、この確定申告を行っていない場合や、書類が手元にない場合は、経営経験が証明できないということになります。紛失や棄損などで手元にない場合、事業所得を証明する公的な書類として、市町村が交付する所得証明書が考えられます。


 次に法人の場合です。必ずしも代表取締役の経験だけでなく、取締役として登記された役員であれば、建設業許可要件の経営経験として認められます。法人には株式会社や有限会社、合同会社の会社形態がありますが、どちらでもよいとされています。

 

この経験を証明する書類は、法人の履歴事項全部証明書です。一般的に法人登記簿とも呼ばれているものです。この書類に、いつ役員に就任したのかが記載されていますので、これが5年ないし6年の経験の証明書類になります。書類としては1部だけで足りますので、個人事業での経験を証明することに比べ、書類が少なくてすみます。事項証明書は法務局へ行けばいつでも誰でも取得できるものですから、法人での経営経験を証明することは、比較的容易です。

 

 個人事業の経験と法人での経験を通算することも認められます。例えば、個人事業で3年、法人成りして2年経過している場合、個人事業の確定申告書3期分と、法人の事項証明書があれば、立証書類として認められます。



「経験業種」の証明


 一言に建設業といっても、土木や型枠、左官など許可業種の数は29種類あります。何の業種を経験してきたのかを書面で立証する必要があります。


 沖縄県では(全国の都道府県で取り扱いが異なります)、経験業種の証明書類として、契約書や注文書、請求書等の写しを求めています。これらの書類には、工事名や期間、作業種類などが記載されていることが一般的です。この内容から、経験業種が判断されます。逆を言うと、これらの内容が記載されていない注文書等は、立証書類にはなりません。

 どのような工事内容がどの業種に該当するのかという点について、建設業法では、工事の内容、例示、区分の考え方が示されています。記載された内容が不明確である場合などは、業種の判断ができない場合もありえます。その書面のタイトルが「注文書」「請求書」であることは重要ではなく、記載された内容がポイントになるのですね。


 注文書等は何件分程度必要になるかというと、1年あたり3~4件程度、とされています。非常に曖昧な表現ですが、業種や規模によってさまざまですから、画一的な基準を設定することは困難でしょう。大規模な工事であれば、工期が1年を超えることも珍しくありませんから、年に1件しか契約がない事業者もいます。この場合は、年に1件でも認められることがあり得る、ということになります。個別に内容を見て判断されています。



両方揃って初めて立証


 申告書の写しや事項証明書、注文書等の両方を揃えることができると、経営管理責任書の立証書類になります。こうして見ると、経験業種の証明の方が難易度が高く、重要になることが分かります。その内容がどの工事に該当するかの判断を誤ってしまうと、要件を満たさず不許可になることもあります。


 建設業許可申請は書類が全てです。いかに長年実際に経験してきたとしても、立証書類がなければ申請できません。その書類が立証書類として適切かどうかの判断も容易ではありません。アクティア行政書士事務は、多数の建設業許可を受任していますが、これまで不許可はゼロです。相談は無料です。お気軽にお問合せください。


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